ウィンズスコアTOPスーザ・マーチ特集

Manhattan Beach

マンハッタン・ビーチ

作曲:John Philip Sousa

 ニューヨーク市のマンハッタンビーチは、マンハッタン区にはありません。その東隣にあるブルックリン区南端の大西洋岸の浜辺のことです。
 ここは、海水浴場だけでなくサーカスや劇場などもあり、1840年代からニューヨーク市民のサマーリゾート地として繁栄し、特に1890年代には隆盛を誇っていました。
 「マンハッタンビーチ・ホテル」オーナーのオースチン・コービンは、かつてギルモアが率いる全米第一のプロフェッショナル吹奏楽団であるギルモアバンドをこのビーチの人気アトラクションの一つとしていました。しかし、代表のギルモアが兵役についたため、新設のスーザバンドにサマーシーズンの公演を依頼した経緯があります。
 この作品はスーザ自身が「私が初期に書いた作品を基にしたもの」と後に語っています。マンハッタンビーチを訪れる行楽客が遠くから近づいてきて、歩き去っていく様子を描写しています。
 この作品が作曲された翌年の1894年に、オースチン・コービンは感謝の気持ちをこめてスーザに豪華なメダルを贈ったと記録に残っています。

商品番号:WRM-0008 演奏時間:2分10秒

El Capitan

エル・キャピタン

作曲:John Philip Sousa

 スーザは1895年に、自身の第8作目のオペラとなる『エル・キャピタン』を完成させました。このオペレッタは、翌1896年にボストンにて初演されると大ヒットし、4年もの間、アメリカのみならずイギリスにおいてもロングラン公演が続きました。
 初演直後に、劇中のメロディーを抜粋して構成、完成したのがこのマーチです。8分の6拍子から途中4分の2拍子に変わるのも、これが要因です。スーザはこの作品を愛好し、コンサートにおいて何度も演奏しました。
 また、1898年に起こった米西戦争の際にアメリカ艦隊・デューイ提督の旗艦オリンピア号のバンドがこのマーチを演奏したことを、スーザは大変喜びました。その後1899年の凱旋パレードでは、スーザはわざわざ予定されていた公演ツアーを中止した上、全額自己負担にてスーザバンドのメンバーを増員し、100名を超える編成でパレードの先頭を行進したと記録されています。

商品番号:WRM-0007 演奏時間:2分20秒

King Cotton

キング・コットン

作曲:John Philip Sousa

 この作品は、スーザが1895年にジョージア州アトランタで開催される「綿花の国際・州博覧会」のために作曲されました。8分の6拍子の行進曲ということもあり、まるで乗馬の騎手がリズムを感じているかのような軽快があり非常に明るいマーチです。
曲中では緊張感のある弱奏部と力強い強奏部が交互に織り交ぜられ、聴衆を飽きさせません。

商品番号:WRM-0006 演奏時間:4分10秒

The Thunderer

雷神

作曲:John Philip Sousa

運動会の入場行進等でお馴染みのこの曲は、1889年に作曲され現在でもマーチのレパートリーとして外せない一曲となっています。曲名の「雷神」について詳しく記録されているものはありませんが、彼の友人であるパーカー大佐を表しているともドラムとビューグルの爆発的効果から名付けられたのではないかとも言われています。
中間部のトランペットの高らかな音色と、スーザ夫人も気に入っていたと伝えられている美しいメロディーが非常に印象的です。

商品番号:WRM-0005 演奏時間:2分50秒

The Fairest of the Fair

美中の美

作曲:John Philip Sousa

ボストン食品博覧会で演奏するために作られたこの曲は、博覧会の会場で働く一人の女性からインスピレーションを受け作曲されたとされています。
タイトル中の"Fair"には"美人"という意味のほかに"博覧会"という2通りの意味を持ち、遊び心のきいたなんとも洒落たタイトルになっています。
明るくきらびやかなこの曲は、スーザが作曲したマーチの中で最も素晴らしいメロディーを持つ行進曲であるとも言われています。

商品番号:WRM-0004 演奏時間:3分40秒

Hands Across the Sea

海を越える握手

作曲:John Philip Sousa

この曲は1899年にフィラデルフィアの学校にて行われた演奏会で初演されました。この曲を3度演奏するほど演奏会は大盛況で幕を閉じ、翌日には地元紙で大きく取り上げられ、同曲はスーザ史上最高傑作であると評されています。
スーザはあるインタビューで、「海を越えた地からアメリカを愛してくれる、そんな人々への友好関係を想って作曲した」と語っており、この曲を通じて国境を越えた友情を表現しています。

商品番号:WRM-0003 演奏時間:2分40秒

The Washington Post

ワシントン・ポスト

作曲:John Philip Sousa

タイトルとなっている『ワシントン・ポスト』とはあの有名な新聞社「ワシントン・ポスト社」のことを指します。この曲はワシントン・ポスト社が実施していたエッセイコンテストのためのマーチで、初演当時は広場から溢れかえるほど多くの人々がスーザの指揮する海軍バンドの演奏を聞くために集まったそうです。瞬く間に彼らの心を奪ったこの曲をきっかけに、スーザは「マーチ王」の称号を手にしたと言われています。
また、このマーチは当時流行していたダンス、ツーステップの要素を取り入れたまさに当時の最先端の曲と言っても過言ではないでしょう。

商品番号:WRM-0002 演奏時間:3分40秒

The Stars and Stripes Forever

星条旗よ永遠なれ

作曲:John Philip Sousa

吹奏楽経験者なら一度は聞いたこと、演奏したことがあるこの曲。もはや語る必要がないほど有名なこのマーチは1987年にフィラデルフィアにて初演され、同年当時のアメリカ合衆国大統領であったロナルド・レーガン氏によって国の公式行進曲として制定されました。
最後のトリオの部分はアメリカの3つの要素を表しているとスーザ自身が語っています。主題は北アメリカ、Picc.のオブリガートは南アメリカ、そして力強いTrb.のメロディーは西アメリカを表現しており、まさにアメリカを象徴するマーチです。

商品番号:WRM-0001 演奏時間:3分30秒

ジョン・フィリップ・スーザ作品の出版にあたって

「世界のマーチ王」と言われるジョン・フィリップ・スーザは1854年にワシントンに生まれました。生誕160周年の記念の年となる今年は、アメリカの軍楽隊をはじめとして、世界でスーザをとりあげたイベントが展開されています。
日本においても長らく絶版となっていたスーザマーチを、この記念すべき年に復刻出版できますことを、大変うれしく思います。多くの民衆に愛されてきたスーザマーチの数々を、1曲でも多く手にとって演奏してみて、作品の素晴らしさを実際に感じていただければ、幸いです。
スーザは100曲を超えるマーチを作曲していますが、それだけでなくオペレッタや組曲なども数多く手がけており、これを機会に掘り下げて研究して頂くことを願っています。
日本スーザ協会 井上学

ジョン・フィリップ・スーザについて

スーザはスペイン系の父親とドイツ系の母親をもち、幼少の頃から音楽に親しんでいたと伝えられています。インタビューの録音では、自分自身で「スーサ」と発音しているものも残されています。
26歳のときに大統領直属と言われるアメリカ海兵隊軍楽隊の隊長に就任し、12年間の在任中に数多くのマーチを生み出しました。その後、ブレイクリーという音楽マネージャーの誘いもあり海兵隊を除隊し、「スーザバンド」を結成、自ら楽長をつとめ、全米だけでなく世界中で演奏旅行をくりひろげました。
演奏旅行で訪問した都市では、市長や民衆の盛大な歓迎を受け、街の人気者と言える存在でした。一部の階層でしか聴くことのできなかったクラシック音楽を、屋外で数多くの聴衆を対象に演奏会を開催することで、音楽文化を拡大する役目を担ったといっても過言ではありません。また「エル・キャピタン」のようにブロードウエイミュージカルにも関わり、幅広い音楽ジャンルに多大な影響を与えました。
「行進曲とは、義足の人でも、思わず歩き出したくなるもの。」とスーザ自身は語っています。躍動感あふれ、聴くものに元気を与えてくれる行進曲を数多く残してくれた作曲家として、後世に語り継がれる人物に間違いありません。